消炎鎮痛剤(NSAIDs)

 

適応症

慢性関節リウマチ、変形性関節症、関節痛、腰痛、肩こり(筋肉痛)、歯痛、神経痛、頭痛等

 

この薬は気軽に扱われる傾向があり、とにかく痛みに良く効くので何気なく長く頼ってしまいがちです。しかし、この薬剤は痛みの根源を除去しているのではなく、一時的に感じなくさせているだけであることに注意が必要です。鎮痛のメカニズムは、「プロスタグランジン類の生成抑制作用」、「血流低下作用」で、長期使用した場合の結末は交感神経緊張状態と血流障害による多様な臓器障害、老化などです。

 

痛みとプロスタグランジン、血流の関係

・プロスタグランジン

プロスタグランジン類は炎症時に生成され、発熱、発痛、血流増加、免疫細胞の集積を起こします。炎症が起こっているときの痛みはこのメカニズムで起こります(風邪で熱が出て節々が痛いときはまさにそうです)。

・血流

関節痛、肩こりの痛み、頭痛などは血管収縮状態が長く続いた際に一時的に血管拡張反射(実は、血行不良から回復するための治癒反応)による痛みと考えられます。血流増加により知覚神経も過敏になりますし、様々な物質の流入により細胞の活動も活発になるために痛く感じるのですが、治癒反射ですので本当は喜ばしい痛みです。

 

最も高頻度に見られる副作用として、胃への障害があります

・プロスタグランジン類の生成抑制の結末

胃は粘液を分泌したり胃壁を頑丈に保つことで自身の分泌する強酸から身を守っています。そしてプロスタグランジン類は胃の粘膜保護、強化、粘液分泌作用に重要な役割を果たしています。消炎鎮痛剤服薬でこの作用が効率的に阻害されますので、大変恐ろしいことです。

・血流低下の結末

胃粘膜は絶えず修復・再生することで強酸の過酷な環境に耐える頑丈な粘膜を維持しています。このためには、胃に十分栄養が供給されていることが必要です。粘膜も粘液もたん白質ですので、こうした合成活動にはたんぱく質を初めとしてかなりの栄養を要求します。栄養は血液によってのみ運ばれますので、血流減少は直接胃粘膜の劣化の原因になります。

・COX2選択的阻害薬

少々専門的なので、ご存知ない方はとばしてください。COX1、COX2という酵素があり、プロスタグランジンを生成させる働きがあります。COX1は生理的に常時はたらいていて、COX2は炎症時にはたらくと考えられており、消炎鎮痛剤はCOX2のみを阻害することが望ましいとされています。しかし、実はCOX2は胃粘膜修復に関与しているとのことですので、COX2選択的阻害剤も手放しでは喜べません。

 

その他、説明しきれないほど、全身性に多くの悪影響を与えます

血流低下は各組織の栄養不足・老廃物の蓄積を意味します。胃のみならず全組織(臓器、血管、皮膚、粘膜全て)において修復、再生、新陳代謝が低下し、気付かなくても組織は劣化していっています。胃は強酸という特殊な環境にあるため状態が悪くなると気付き易いのですが、胃の状態が悪くなった時には同様なことが全身的に起こっているでしょう。

腎は老廃物排泄に重要であることはよく知られています。腎の血液濾過作業(血液から老廃物を濾し取る)を良好に保つにはプロスタグランジンの作用と十分な血液の流入が必須です。これらの不足は老廃物蓄積のみならず、腎自体の障害にもつながり、大変危険です。

関節リウマチ、変形性関節症は、血流低下により関節に新鮮な水分・栄養の供給、老廃物の回収がうまく行われなくなることが原因の1つと考えられます。血流が低下していると、関節部に老廃物がたまっても血液が洗い流してくれないため、老廃物を食べて処理する細胞(好中球、マクロファージなどの免疫細胞)が処理します。処理してくれるだけなら良いのですが、同時に炎症を起こす仲間の細胞を呼び寄せてしまうため、これらの細胞が分泌する活性酸素などによって関節や周辺組織が破戒されます。

また、プロスタグランジンと交感神経は拮抗関係(お互いに抑制しあっている)にあります。薬剤でプロスタグランジンを低下させると交感神経作用が強くなります。交感神経は全身的にエネルギー消費、血圧上昇、血流低下をおこすため、体を消耗させ、老化を助長します。

 

根本的に治すには

消炎鎮痛剤の服用をやめれば、一時的に痛むことになりますが、体調はよくなり、元気がもどります(消炎鎮痛剤の長期服薬で交感神経が継続的に緊張していると、精神的にも鬱気味になるようです)。運動する元気が出てくれば、運動により関節の血流が増加し、関節内環境がよくなり、骨が強化され、関節の具合は改善します。また、ストレス除去に努めることも大切です。ストレスも消炎鎮痛剤同様、交感神経を緊張状態にさせてしまいますので。

 

 

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