現代の慢性病と自律神経

 

「病は気から」とは本当に的を射た言葉だと思います。人間の体は神経、ホルモン、オータコイド(ホルモンよりずっと限られた場所にのみ作用するホルモン系のようなもの)の何重もの複雑な支配・調節で非常に微妙なバランスがとられて初めて調子が良いのです。中でも全てを総括するのが自律神経(気)だと考えられます。そして、現代の慢性病の多くは気から発した病気と考えられます。

 

自律神経とは

自律神経には交感神経、副交感神経があります。殆どの組織は両方の神経支配を受けており、一方が強いときは他方が弱まる仕組みになっています。交感神経は日中、仕事中に優位、副交感神経はリラックス中、睡眠中に優位となっています。

・交感神経優位(体を活動状態にし、エネルギー消費傾向)

末梢の血管を収縮、筋肉・心臓などを栄養する太い血管を拡張、気管支を拡張、血糖上昇、顆粒球(免疫細胞)増加

・副交感神経優位(リラックス状態、エネルギー蓄積傾向)

消化管活動(消化酵素分泌や蠕動運動)向上、末梢血管拡張、分泌増加(唾液、粘液等)、リンパ球(免疫細胞)増加

現代の慢性病の原因の多くは「継続的なストレスにさらされること」と「自然から遠ざかり、運動量や外的刺激が減少したこと」にあると考えられます。前者は人を交感神経有意優位に固定にし、後者は副交感神経優位に固定します。自律神経はバランスが重要で、片方に偏ると体は劣化・疲労あるいはエネルギー過剰状態になり、アンバランス是正反動が起こります。こうして現れた症状に病名がつけられるのですが、この症状はある意味アンバランスの是正反応なので、治癒反応の一環であることが多いのですが、西洋医学ではそうしたことを考慮せずに、薬で不快な症状を鎮圧する方法をとっています。従って、現代の慢性病を薬で治すことはできません。

 

病の本質を考える

東洋医学では気、血、液が健康のバロメーターと考えられています。大変見事な洞察です(「自然と人との関係〜東洋医学に学ぶ〜」もご参照ください)。

気:自律神経

血:血液、血流

液:体液、リンパ液

気、血、液の乱れが病気の元と考えます。また、気(自律神経)が統括するという仕組みは例えば、

「継続的ストレスにより交感神経優位に固定され、慢性的血行不良となり、水分・老廃物貯留、体の冷えに至ります。一方、交感神経優位では免疫細胞比率が変化し、顆粒球が増え、リンパ球が減少します。」

ということです。

「気」はあなどれません。「気」に起因する現代病は薬で治す疾患ではありません。東洋医学的手法で血、液の環境を正し、体力・治癒力を補いながら良好な「気」の状態を取り戻すべきだと思います。

 

交感神経の緊張で血流低下・顆粒球増加は万病の元

・血流低下により、組織は酸素・栄養不足となり、老廃物も溜まります。粘膜のように外部や固形物を接触する部分は日頃から損傷を受けるため、修復・再生活動が活発で、組織作りの原料としてたくさんの栄養を要求していますが、血行不良で栄養供給が不十分になります。修復が遅れると、組織は脆弱化し、消化吸収活動の低下、細菌の体内侵入を許してしまいます。時に自分自身が消化酵素に負けて消化性潰瘍にもなります。普段なら通過しない比較的大きいたん白質が腸管から侵入し、アレルギーの原因になることもあります。

溜まった老廃物は異物排除系の細胞(マクロファージ、好中球など)により処理され、その際に放出される活性酸素が周辺組織を障害してしまいます(炎症性組織障害)。あるいは、老廃物を溜める場所を作る(良性腫瘍など)場合もあります。血流低下で腎臓での尿生成も低下します。こうして組織レベルのみならず全身的に老廃物が溜まってしまいます。なお、腎臓は体内の水溶性毒素が高度に濃縮される器官ですので、腎の血流低下、水分不足は腎臓を障害します。腎は再生しませんので、これは恐ろしいことです。薬の大量使用・長期使用は腎に多大な負担をかけます。

・本来、顆粒球は大き目の細菌が傷から侵入した際の細菌除去を、リンパ球はウイルス、食事的に取り込まれた小さい異種たん白などの除去を司っています。しかし、顆粒球は細菌侵入がなくても、交感神経の緊張で増殖・活性化されることがあります。ストレスの多い状態にいると顆粒球が増加しており、何らかのきっかけで炎症反応を開始してしまうことがあります。顆粒球はあらゆるところに集積し、放出する活性酸素で全身的に打撃を受ける危険性があります。活性化してしまったために、普段は反応を起こさない常在菌に反応してしまうこともあります。

 

考え方の改革

病は臓器一個単位ではおこりません。気(自律神経)に始まり、血・液が乱れ、全身的に狂っていくものです。たまたま現れた症状に対して病名がつけられただけで、近視眼的に病名だけにとらわれていると回復するチャンスを逃しかねません。常に生活が自然から乖離していないかモニターし、体調が崩れた時は生活を見直して根本から正すことが重要だと思います。

 

 

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